2019-01-01から1年間の記事一覧

囀る鳥は羽ばたかない 6巻考察③「矢代に訪れた救いー目の前のありふれた光」

さてさて6巻で大きな転機を迎えた矢代について考察です。「あいつ末期ガンの終末医療とかやってんのな」 不吉な表現にヒヤッとしましたが、これは”これまでの矢代”に終末が近づいているという描写だったようです。 終わらせたかった理由 「死にたいわけない…

囀る鳥は羽ばたかない 6巻考察②「親とは何かー失いながら生きる者」

続いて作中唯一、魅力的な親として描かれている三角さんについて。 親殺し子殺し ヨネダ氏の作品で印象的なのは2008年発刊の「どうしても触れたくない」。 外川の母親がノイローゼから家に火をつけ弟が死んだ話。 ボーイズラブのエピソードとしてはやや唐突…

囀る鳥は羽ばたかない 6巻考察①「百目鬼、イノセンスとの別れ」

コミックスは大人しく電子版を待っていました。 といわけで囀る鳥は羽ばたかない6巻考察に入ります。長くなりそうです! 百目鬼、 思春期の終わり 4巻で百目鬼が矢代の部屋から盗んだ影山のコンタクトケース。 あれどうなるんだろうと思ってたら「人を好きに…

囀る鳥は羽ばたかない 35話考察②「傍観者から当事者へ。羽ばたいた鳥は幸せになれるのか?」

次はひかりの中に踏み出した矢代について。 二十年越しの答え 病院に見舞いに来た影山に矢代は問いかける。 「お前はなんで俺じゃなくて久我だったんだ?」矢代「ヤリてえなとかは?」 影山「あるわけねえだろ」「身内のAV見せられるなんて苦痛でしかねえ」…

「囀る鳥は羽ばたかない」タイトルについて考察ー鳥が囀る理由と羽ばたく理由

「囀る鳥は羽ばたかない」、今回はその印象的なタイトルについて考察。 鳥が囀るわけ なぜ鳥が囀るのか?については以前ヨネダ氏がnoteに紹介されていました。note.mu 【囀り】 「鳥の歌」ともいわれ、主に繁殖期に雄が出す美しい鳴き声のこと。 生まれなが…

囀る鳥は羽ばたかない 35話考察①「平田、すべての報い。矢代、半分の仮面」

33話で矢代と百目鬼は飛行場の近くに移動。 当初「なんで飛行場なんだろ?」と思っていたら、飛行機は分かりやすく鳥の比喩で、34話は”ついに鳥が羽ばたきますよ”というシーンで終了。 よって35話は矢代と百目鬼がスウィートな展開になるのかと期待していた…

<カタルシスは描かない>物語の二重の逆張り構造ー「夢の雫、黄金の鳥籠」考察⑤

「夢の雫、黄金の鳥籠」新刊12巻が発行されました。 スレイマン一世とイブラヒムは欧州遠征に赴き、ヒュッレムは寄進財団の設立を目指す内容。 物語は淡々と進む。 物語が盛り上がりに欠ける理由 「夢の雫、黄金の鳥籠」は二重の逆張り構造で出来ています。①…